夫婦間での取り決め事の有効性

夫婦間での取り決めごとはいつでも取り消せるのか?

最近最も多い相談内容のひとつに、一度不貞行為をおかした相手方と、今後戒めを含めた意味で「二度と不貞行為を犯さないこと」と「不貞行為を犯した場合は〇〇」というような条件を付けた文書を作成したいと言うものです。

民法第755条にこう記載されています。
民法755条
【夫婦間で契約をしたときは、その契約は、婚姻中、いつでも夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし第三者の権利を害することができない】


条文どおり読めば、夫婦間での取り決めごとは婚姻中はいつでも取り消せるのですが、果たして本当にそうなのでしょうか?
民法の条文を読むと、夫婦間の取り決めごとはいつでも取り消せるというように、誰しも誤解してしまいがちですが、実はそうでもないんです。

民法には【夫婦間でした契約は、婚姻期間中、いつでも取り消せる】とあります。実はこの【婚姻期間中】というのを【夫婦関係が良好である期間中】と言い換えてもいいように思えます。

・・・ということは、つまり、婚姻期間中・・・言い換えれば夫婦関係が良好な期間中であればいつでも夫婦間での取り決めごとは取り消せるのですが、夫婦関係が事実上破綻している場合には、もはや約束事や取り決めごとは取り消せません。

・・・ということは夫婦間での取り決めごとをしっかりと書面に残しておくことってすごく大切で重
要なことなんですよね。

例えば「今度浮気したら50万円支払う」というような約束事を書面で残したとします。すると、例え夫婦関係が良好なうちでも夫(妻)の側から「やっぱり、こんな約束事なかったことにしよう」と言われれば「あれ?」と思いますよね。
「今度浮気したら50万円支払う」という約束事を取り消したいと言うことは、「何か、夫(妻)なりが、不貞行為に近いことをやらかそうとしてるんじゃないか?」と勘繰りたくもなりますよね。

ですので、夫婦関係が良好であればあるほど、実は約束事は取り消しづらいと言えるでしょう。

そして実際、夫(妻)なりが不貞行為をおかした場合は、その時点で夫婦関係が事実上破綻していると考えられますので、もはや「今度浮気したら50万円支払う」と言った約束事は取り消すことができず、きちんと夫(妻)は約束どおり50万円を支払わなければなりません。


このようなことから、ある意味、離婚前提の取り決めごとを書面で残しておくと言うことは非常に意味のある大切なことなのです。